その1 〜耕作放棄地とは〜

コラム

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「耕作放棄地」という用語、耳にしたことありますか。
越前浜にはその耕作放棄地がたくさんあります。

言葉の意味するところから、おおよそのイメージは伝わると思うのですが、似たもので「遊休農地」というものもあります。似ていますが、それぞれ意味するところが違います。今回は、まず耕作放棄地について説明いたします。

「耕作放棄地」という用語は、農林業センサスという統計調査で定義された用語です。

定義:耕作放棄地
「以前耕地であったもので、過去1年以上作物を栽培せず、しかもこの数年の間に再び耕作する考えのない土地」

ポイントは「放棄」という言葉です。「過去1年以上作物を栽培せず」に加えて、「この数年の間に再び耕作する考えのない」というところを言い表しています。「放棄」を辞書などで調べると、「権利や資格などを捨てて、行使しないこと」とあります。

所有する土地で農作物を栽培するのも栽培しないのも自由ではないのでしょうか。そのことで、まわりから「放棄」という言葉で語られるのはどういうことなのでしょうか。

それは、 農地法というものをみると分かります。そこで農地は「単に所有者が農作物をつくっている土地」という位置付けだけで片付けられていません。

農地法の第一条には、その農地法の目的が記されています。その文頭にて農地は「現在及び将来における国民のための限られた資源」と位置付けられ、文末にて農地法は「国民に対する食料の安定供給の確保」と目的が挙げられています。

ある個人あるいは法人の所有の土地でありながら、国民の資源と位置付けられ、国民のための役割も目的に挙げられているのです。

そのために国は、資源として限られている耕作に適した土地を所有していながら、何も栽培せず、かつ栽培する考えがないという土地を「耕作放棄地」と定義して、把握するための農林業センサスにて調査しているのです。