越前浜研究所

その2 〜地縁(ちえん)〜

コラム

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越前浜では、集落外つまり他所のことを「世間(せけん)」、引っ越した人たちのことを「世間に旅に出ている」と表現することがあります。

ここから読み取れるものは、越前浜での空き家を考える上で、とても重要なポイントになると考えられます。

越前浜に空き家がたくさんあります。たくさんあるということは、言い方を変えれば「家屋敷(家と敷地)を残している」ということです。その個別の理由は様々だと思います。

ときおり耳にするのは、「会社の定年を迎えたらこの家に帰るかもしれない」「お仏壇やお墓もあり、親戚も多いので、法事やお盆にはこの家に泊まっている」「自分や身内、親戚の荷物がたくさん入っている」などです。

もちろん、代々伝わるその家屋敷を自分の代でたたむことへの抵抗感が背景にあるかもしれません。あるいはそのたたむころあいを見計らっている場合もあるでしょう。いずれにしても、引っ越してなお家屋敷を残しているということは、縁として越前浜の人であり続けていることの表れのひとつなのです。

それは、引っ越した人たちの気持ちや意思のうえのことだけでなく、越前浜にいまなお暮らしている人たちにもどこか共有されてきたと思われます。

「世間に旅(たび)に出ている」

越前浜に残るこの言葉と、引っ越してなお残る家屋敷に、その地縁からくるお互いの気持ちがみて取れるのです。